中外製薬株式会社 様 

【 製薬・メーカー 】

人事部部長 黒丸 修 様

人事部タレント
マネジメントグループ 課長 山本 秀一 様

人事部 人事企画グループ
グループマネジャー 大木 光馬 様

シニア社員が経験とスキルを活かしながら、
チャレンジングに働くため、
多様な“気づき”の機会を提供する

企業プロフィール

1925年創業。「がん」等の領域を中心に、最先端技術を駆使し、有効な治療法が見つかっていない「アンメットメディカルニーズ」を満たす革新的な医薬品の創出に取り組む。2002年、世界的製薬企業ロシュ社との戦略的アライアンスを開始。自主経営を保ちながらも、大きなシナジーを発揮して事業の拡大を推進している。

60歳から、どのような人生を歩んでいくのか。
「シニア社員制度」でキャリア形成を意識づける

当社では、50歳以上の社員比率が2020年には35.1%に、また2025年には37.4%に上ると見ています。シニア人材の活躍支援は、今後いっそう重要性を増していくという認識のもと、2009年から「シニア社員制度」の整備を進めてきました。この制度では、55歳を迎えた社員に、3つの選択肢を設けています。正社員として継続勤務し、60歳で定年退職となるか、シニア社員として65歳まで雇用延長するか、あるいは、早期退職制度を利用して新しいキャリアを歩むのか。もちろん、突然に選択を迫るわけではありません。54歳の時点で「キャリアデザイン研修」を実施し、これまでのキャリアを振り返りながら、ライフプランを描いてもらいます。このとき、「貢献職務記入シート」への記述を通して、今後、何がしたいのか、社員一人ひとりの考えを明文化し、会社と共有します。シニア社員の道を選ぶ者にとっては、雇用満了までの10年間で新しいキャリアを築くことも可能でしょう。早い時期にキャリア形成を意識してもらうことが重要だと考えています。
人事部タレントマネジメントグループ課長山本秀一様の写真
人事部タレントマネジメントグループ 課長
山本 秀一 様

現状維持では不十分。
チャレンジしてもらうための「5つの期待役割」

シニア社員が慣れ親しんだ環境で、今までの経験を活かしたいと考えることは当然です。事実、「職務貢献記入シート」の結果でも、8割の者が現職継続を希望しています。ただ、環境変化が激しさを増す中で、「このままでいい」という考えを固持していては、周囲から置き去りになってしまいます。大切なのは、チャレンジし成長し続けること。当社では、会社からの期待と、当人の意欲・パフォーマンスの溝を埋めるため、「5つの期待役割」を打ち出しています。   1. 新たな業務・課題への挑戦 2. 自身の能力の把握と発揮 3. 上司の良きフォロワー 4. 若手社員への支援と育成 5. 活気ある職場づくりへの貢献   通常、シニア社員が意識しているのは、3番や4番の、いわゆる“伝承”という面でしょう。そこで、1番や2番に、チャレンジしてほしいというメッセージを置いているのです。この5つの柱を、職種や機能別に具体化した職務へと落とし込んでいます。
人事部人事企画グループグループマネジャー大木光馬様の写真
人事部 人事企画グループ グループマネジャー
大木 光馬 様

年代に応じた取り組みで、さらにきめ細かに。
ヒューマンタッチの運用こそが重要

年代に応じた取り組みは、これからさらに充実させていく必要を感じています。特に40代は、自身の市場価値を確立し、どうすれば会社に貢献できるのか考えるフェーズであるとともに、他に目指すキャリアがあるのなら、その準備も進めなければならない時期です。早期からキャリア自律を促す働きかけをして、会社へのぶら下がりを予防していくことが重要ではないでしょうか。副業・兼業の拡充や、リカレント教育の促進も考えていかなければなりません。年上であるシニア社員を部下に持つことは、多くのマネジャーが不得意とするところです。「ダイバーシティ研修」では、ロールプレイングを通して、年上の部下とのコミュニケーションについてもトレーニングします。一方、人事部とシニア社員で構成されたプロジェクトチームが発案した、60歳時研修(「チャレンジアップ60」)にも発展を期待しています。部門を超えた横の繋がりが刺激となり、モチベーションの再点火に至ることは、大いにありえることですから。“シニア”といっても、ひとくくりにはできません。核となる制度を設けながらも、運用においてはヒューマンタッチのきめ細かな対応で、“気づき”の機会を提供したいと考えています。
人事部部長 黒丸修様の写真
人事部部長 黒丸 修 様
ご登場いただいた方々の所属や肩書きなどは取材当時のものです:このインタビューは2018年11月に実施いたしました。