【連載シリーズ】ベンチマークの悪循環を脱するシナリオプランニング
リスキリングを支える柱、4つの「S」。
「シナリオ」、「スピード」、「サイエンス」、「セキュリティ」。
現在の世界において最も死活的とされる「4S」。
このリスキリングの柱を何回かに分けて考察したいと思う次第であります。
前評判が高い「インディ・ジョーンズ」シリーズの完結版の劇場公開も迫っております。
しかし、LSも負けてはならじ。貴兄貴女の頭脳をスイッチオン!
LS聖杯探しの冒険譚。さあ封切り!
嚆矢とするは「シナリオ」です。
(1)シナリオとは
シナリオとは将来像を設定しそこからバックキャスティングし
成長戦略を描き実行に移す未来志向の戦略思考です。
日本企業においても中期経営計画や長期経営計画策定の際に
バックキャスティングの手法が採用されることが増えてきました。
(2)似て非なる「ベンチマーキング」
似て非なるものに「ベンチマーキング」があります。
ベンチマーキングとはある事業戦略を練る際に先行する
他の企業の事業を詳細に調べ上げそこにできる限り接近し追い抜く戦略を練ることです。
個別の製品(例えば新車の開発にあたりBMWの5シリーズセダンをベンチマークするとか)、
個別の事業でのベンチマーキング(ダイエーがアメリカのスーパーマーケットをベンチマークにしたのは有名です)もあれば、
経営そのもののベンチマーキングもあります(一時、多くの日本企業がジャックウェルチ率いるGEをベンチマークにしていました)。
(3)キャッチアップ型成長には有効だったベンチマーキング
シナリオプランニングとベンチマーキング、
どちらが日本企業に身近であるかと言えば圧倒的に後者だと思います。
高度成長期以来、先進欧米企業をまずベンチマーキングして、
その差を詰めて最終的には追い越す形で多くの日本企業は成長を実現させてきました
(キャッチアップ型成長)。
目標が現に存在し明確なのでそこに生産効率など日本企業の優位性を足すことにより市場を奪っていくことができたわけです。
(4)ベンチマーキングの罠
時は移り、今日では日本企業のベンチマーキングの対象は、欧米企業から、例えばサムソンなどの韓国企業に、
そして次にTICTOKなどの中国企業に、さらに今やインド企業、マレーシアなど東南アジアの企業と変遷を続けてきました。
これは何を物語っているのか。
自社よりも後方に位置する企業のベンチマーキングをすることはありませんので、
このベンチマーク対象の変化はすなわち日本企業の競争力がどんどん後退していることを意味します。
ベンチマークによる成長戦略が成り立つためには、
ベンチマーク先よりも自社のほうが早く変化できるスピード上の優位が前提となります。
ところが、IT技術に代表される技術変化によってベンチマーク先の企業は加速を続け、結果、
日本企業はいつまでも行っても追いつない。
それどころか今までリードしていた企業に後ろから次々に追い抜かれるという現実に直面しています。
(5)アマゾンは、テスラは、ベンチマークをしたか?
ベンチマークとは目標となる先行企業があってこそ可能になります。
では、前例のないビジネスを構築したアマゾンやテスラはベンチマークをしたのか?
おそらくやろうにも対象は存在していなかったにちがいありません。
そして、今世界を席巻している企業の多くはそのような企業なのです。
では、彼らは何をしたのか。
それがまだ実現していない社会の将来像を描きだしそこからバックキャスティングして成長戦略を作り上げていった。
まさにシナリオ力を発揮したのです。
(6)これからの日本のビジネスパーソンにとってなぜシナリオ力が必要か
ここまで申し上げればなぜ「シナリオ」の力がこれからのビジネスパーソンに必須のものかは既にお分かりかと思います。
でも、現実化していない未来を想定し成長戦略を立てていくこと、そこには当然様々な難しさがあります。
この難しさを乗り越え新しい世界を創造していかなければならない、
是非弊社会長徳岡の「リスキリング超入門」を手に取ってみてください。
そこには様々な秘訣が分かりやすく解説されています。