2024.10.03

【連載 コラム No.4】プラトン vs.トクオカ

 
 
さて、大好評、世界史に名を遺す哲学者と同じく後世に名を遺す可能性もあると言えばある
弊社会長トクオカの対決シリーズ。
今回は哲学の故郷、古代ギリシアを探訪。
ソクラテス、アリストテレスとともにギリシア三大哲学者といえば、
そうプラトン!
ということでトクオカ、プラトンかく相対セリの巻、はじまりはじまりー。
まずプラトン。プラトンは♪偉い人~♫・・・そんなのジョウシキー♩っていうという大半の読者諸兄のために簡単にご紹介。
 
 

 
 
「イディア」。これだけ知っていればプラトンはある意味十分かもしれません。
イディアとは現代英語ではideal(理想)やidea(アイデア)などの語源ともなっています。
モノにはすべてその理想形としてのイディアがある。
いや、モノだけではなく犬のような動物でも、「美」といった抽象概念にもその理想形(=真の姿)としての「イディア」がある。何処に?天上に。
したがって下界の我々の周りにある存在は、犬もコップも美にしても、理想形(「真」の犬やコップや「真」の美)から離れた「マガイモノ」ということになります。
では、我々がこのマガイモノを見てそれを「犬」だとわかるのはなぜでしょう?
何かに触れて美しいと思うのはなぜでしょう。
人は生まれてくる前に天上で「本当の犬」や「真実の美」を見ているので類推が働く、とプラトンは説きます。
この「真の存在」は天上にあり地上にあるものはその類似品という発想。
「真の存在」を「創造主」と置き換えればどうなるでしょう。ニーチェがキリスト教を「大衆のためのプラトン主義」と語ったのは有名です。
 
 
さて、トクオカはどこに位置するのか。
プラトン主義は一種の認識論でもあります。
地上に存在するものを認識できるのは天上でその真の在りようを見たからだ、と言うのですから。

 
 
しかし、ここには地上にないものを人が生み出した場合はどうか、という事態は想定されていない。
地上にあるものにはそれぞれ対応する真存在が天上にある。
では、未だ地上にないものは?プラトン学説とトクオカの領域との境界線はここです。
トクオカは未だ誰も見たことのないものをいかに生み出すことができるかを考える。
 
 
イノベーターシップ。
それは生前の記憶を呼び起こす術ではありません。
イノベーターは現実世界において未だ充足されていないニーズをなにがしかの方法で充足させる、その在り方。
その意味で極めて地上的概念であります。
データドリブン経営、マーケティング等々最新技術を使い様々な手を繰り出していかなければならない。
しかし、地上的視点にだけとらわれていては大きな跳躍の妨げになる可能性があります。
同時にプラトン的天上の理想に思いをはせることは世界を俯瞰することを可能にすることを通じて時にイノベーターに重要な示唆を与えてくれるのではないでしょうか。
一例にすぎませんが、ルールメーキングを行うには天上的理想が出発点になります。
トクオカの発想にはプラトンを超えた革新という観点と地上を離れたプラトン的要素の双方含み持つということができるでしょう。
 
 
このように両者の分業は単純のようでそうではありません。
ふたつの円が一部重なりあうベン図のような関係と見立てることもできるかもしれません。
弊社ではイノベーターシッププログラムをいう研修コースを用意しております。
プラトンとトクオカの混交する刺激的世界に触れてみたいという方には是非参加をお勧めしたいと思います。
モデレータ―をあい勤めます小生が皆さまがイノベーターと変身していくエキサイティングな時間となることを保証いたします。
では、また来月お目にかかりましょう。
 
 

藤井敏彦

藤井敏彦

株式会社ライフシフト ストラテジック・アドバイザー

1964年生まれ。87年、東京大学経済学部卒業。同年、通商産業省(現・経済産業省)入省。94年、ワシントン大学でMBA取得。通商、安全保障、エネルギーなど国際分野を中心に歩き、通商政策課長、資源エネルギー庁資源・燃料部長、関東経済産業局長、防衛省防衛装備庁審議官、国家安全保障局(NSS)内閣審議官などを歴任した。2000~04年には在欧日系ビジネス協議会の事務局長を務め、日本人初の対EUロビイストとして活動するなど、豊富な国際交渉経験を有する。NSSでは経済班の初代トップとして、経済安全保障推進法の策定などに携わった。主な著書に『競争戦略としてのグローバルルール』(東洋経済新報社)など。