セカンドキャリア支援制度ってなに?
利用するとどんな支援が受けられるの?
こういった疑問や要望にお答えしていきます。
長く働くことが前提となった現代において、セカンドキャリアの準備は避けて通れなくなりつつあります。
そこで注目されているのが「セカンドキャリア支援制度」です。
企業が用意しているセカンドキャリア支援制度を活用することで、企業の支援を受けつつ再就職や独立の準備を行えます。
当記事ではセカンドキャリア支援制度の概要や支援内容、活用する際のポイントなどを解説しています。
企業の事例や注意点も紹介しているので、セカンドキャリア支援制度の利用を検討している人はぜひご覧ください。
- セカンドキャリア支援制度は企業が用意するセカンドキャリアの支援制度
- 利用することで金銭的支援や情報的支援などが受けられる
- 利用の際は自社の退職金制度や利用時のリスクをあらかじめ確認することが重要

株式会社ライフシフト 代表取締役社長COO。学生時代より企業研修業に携わり、大学卒業後、フライシュマン・ヒラード・ジャパンに新卒入社。 社内コミュニケーション、企業研修、人事制度、理念浸透のプロジェクトに従事。
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同社時代の上司である徳岡とともにライフシフト社を創業。 ベトナムでのスタートアップや起業を経験し、現在はライフシフト社COO。 プライベートでは二児の母。早稲田大学社会科学部卒業。
セカンドキャリア支援制度とは?

セカンドキャリア支援制度とは、従業員のセカンドキャリアを支援するために、企業が実施している支援制度です。
近年は少子高齢化や働き方の多様化を背景に、長く働くことを前提とした制度の整備が進んでいます。
セカンドキャリア支援制度は、研修やキャリア相談、マッチング支援などを実施し、従業員が円滑にキャリア転換できるように作られました。
情報的な支援や再就職・転職の支援だけでなく、退職金の割り増しなどの経済的支援を行っている企業も多いです。
セカンドキャリアの定義
セカンドキャリアとは、退職や転職を期に築く新たなキャリアのことです。
具体的には、定年後や早期退職後に再就職や独立などを行い、第二の職業的な人生を歩むことを指します。
近年は「人生100年時代」とも呼ばれているように、平均寿命が徐々に延びてきている上、年金の支給開始年齢の引き上げや支給額の減少により、老後の生活に不安が残る状況です。
そこで、年金や退職金に依存せずに安定した生活を送るため、60代以降も働き続けることが一般的になりつつあります。
近年は早期に準備を始める人も増えており、これまでの経験やスキルを活かしつつ、より柔軟な働き方を模索する動きが広がっています。
セカンドキャリア支援制度の目的
セカンドキャリア支援制度の目的は、従業員が円滑に次のステージへと移行できるようにすることです。
具体的には、再就職支援や起業支援、経済的支援などを通じて、退職後も活躍できる土台を整えることを目指します。
近年の労働人口は、40~50歳のミドル世代の割合が高まってきています。
企業によってはミドル世代が従業員の半数を超え、年功序列の体制を取ってきたことによる人件費の高騰が課題になっていることも少なくありません。
そこで、ミドル世代の抱え過ぎを課題としている企業が、対象の従業員のセカンドキャリアを支援することで、人員構成の最適化を図りつつ、社会全体での労働者の需給バランスを整えるために、セカンドキャリア支援制度を導入する企業が増えています。
希望退職制度や早期退職優遇制度との違い
セカンドキャリア支援制度と似た言葉に、希望退職制度や早期退職優遇制度があります。
希望退職制度は会社側が一時的な人員削減のために実施することが多い制度で、制度を利用した場合は会社都合での退職になります。
希望退職制度の主な目的は会社の人件費削減であり、セカンドキャリア支援制度と目的が被っているため、企業によってはセカンドキャリア支援制度と合わせて実施することも多いです。
一方、早期退職優遇制度は、従業員が自主的に早期退職をする制度で、他の制度と同様に人件費削減のために行われます。
早期退職優遇制度の場合は自己都合退職として扱われることもあり、会社側が手厚い優遇措置を行うことが多いです。
ただし、自己都合退職ということもあって、優遇措置を目的として従業員が想定以上に辞職してしまうリスクがあり、近年では廃止する企業も増えています。
セカンドキャリア支援制度は事実上のリストラ?

セカンドキャリア支援制度は、制度の意図に関わらず「事実上のリストラではないか」と受け取られることも多いです。
事実、希望退職制度と合わせて実施している企業の場合、本人の意思とは異なる形で退職を促す要素を含む場合があるため、事実上のリストラとも捉えられます。
しかし、本来の目的は従業員の将来を見据えた前向きなキャリア形成支援です。
実際に、セカンドキャリア支援制度を利用した労働者が再就職や起業に成功した事例も多く、活用次第で新しい人生を築くきっかけにもなります。
制度の本質を理解し、自らの選択として制度を活用することが重要です。
アスリートなどセカンドキャリア支援の重要性が高い職業もある
アスリートなど、若年で第一線を退く職業では特にセカンドキャリア支援の重要性が高いです。
現役時代に専門分野へ集中してきた分、引退後のキャリア選択に迷うケースが少なくありません。
そのため、競技団体や企業が主体となって再教育プログラムや就業支援を行う例が増えています。
近年はスポーツ指導者や解説者への転身だけでなく、ビジネススキルを習得して新しい分野で活躍する人も増えており、セカンドキャリアを「次の挑戦」と捉える流れが定着しつつあります。
セカンドキャリア支援制度の内容

セカンドキャリア支援制度の内容は、大きく分けて以下のように分類できます。
- 経済的支援
- 情報的支援
- 時間的支援
- 再就職や転職の支援
それぞれ詳しく見ていきましょう。
経済的支援
経済的支援は、文字通り制度を活用した従業員に金銭的な支援を行うことです。
具体的には、早期退職時の退職金の割り増しや再就職準備金の支給、起業支援金の支給などがあります。
まとまった資金を確保できることで、生活の安定やスキル習得の投資がしやすくなり、新たな一歩を踏み出しやすくなります。
金銭的な余裕があることで、焦らずに今後の進路を考える時間も確保でき、より納得のいくキャリア選択が可能です。
情報的支援
情報的支援は、キャリア再構築に向けた意思決定を後押しする重要な要素です。
例としては、セミナーやキャリア相談会の実施、業界動向の提供、スキル評価診断などが挙げられます。
自身の経験の活用方法がイメージしやすくなり、より現実的な選択肢を見出すきっかけにもなります。
情報の精度と量が十分に確保されていることで、セカンドキャリアの計画をより具体化することが可能です。
時間的支援
在職中に準備期間を確保するための時間的支援も、セカンドキャリア支援制度で行われる重要な支援といえます。
よくあるケースとしては、勤務時間の一部を学習や転職活動に充てることを認め、業務と両立できる体制を整えることなどがあります。
有給休暇の柔軟な取得や研修参加への配慮などが含まれており、負担を最小限に抑えながらセカンドキャリアに向けた準備を行うことが可能です。
日常のリズムを崩さずに次のステージに向けた行動が取れる環境が整えば、精神的な余裕も生まれやすくなります。
再就職や転職の支援
セカンドキャリア支援制度では、再就職や転職に向けたサポートも充実していることが多いです。
キャリアカウンセリングや面接指導、企業とのマッチング支援などによって、制度を利用した従業員をサポートします。
自力での転職が難しいと感じる50代にとって、専門的な支援は大きな安心材料です。
希望職種や勤務条件に合った求人情報を提供してもらえるため、効率的かつ現実的な転職活動が実現しやすくなります。
企業のセカンドキャリア支援制度の事例

セカンドキャリア支援制度をうまく活用している事例としては、NECが上げられることが多いです。
NECでは2018年から以下のような取り組みを実施しています。
- 40代以上への定期的なキャリアプログラムの受講必須化
- 満45歳以上の社員へのセカンドキャリア支援制度の実施
まず、40代以上の社員が必ず定期的なキャリアプログラムを受講する体制を整えています。
その上で、満45歳以上の社員がセカンドキャリア支援制度を利用出来るようにしているのが特徴です。
制度を利用する前に十分なマージンを取ってキャリアプログラムを実施しているため、明確なキャリア設計をした上で制度を利用できます。
また、2010年には社員のキャリア形成を支援する新会社を設立するなど、社員のキャリア形成やスキルの習得を徹底的にサポートしているのが特徴です。
以上のように、従業員がセカンドキャリアを歩みやすくなるよう、体制を整えている企業が増えつつあります。
セカンドキャリア支援制度を活用する際のポイント

セカンドキャリア支援制度を活用する際には、あらかじめ以下のようなことを行っておきましょう。
- 自己分析を行う
- 将来的なキャリアのゴールを決める
- キャリア形成に必要なスキルや資格を明確にする
特に自己分析とゴール設定は、キャリア形成の方向性を間違えないために重要になります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
自己分析を行う
セカンドキャリア支援制度を利用する前に、まずは自己分析を行いましょう。
今までの職務経験や得意分野、働き方に対する価値観を整理することで、自分にとって最適な選択肢を見つけやすくなります。
たとえば、「人と関わる仕事が得意」「安定よりも自由を重視したい」など、自分の軸を可能な限り詳細に明確化することが重要です。
また、キャリアカウンセリングや適性診断を活用しながら、客観的な視点も取り入れることで、方向性に対する納得感が深まります。
将来的なキャリアのゴールを決める
自己分析が完了したら、将来的なキャリアのゴールを決めましょう。
セカンドキャリアにおける最終目標を定めることで、必要な準備や行動も明確になります。
また、ゴールが決まっていれば、支援制度の中から何を活用すべきかを判断しやすくなり、時間と労力を効率的に使えます。
自分が望む働き方や生活をイメージしながら、綿密に計画を立てることが重要です。
キャリア形成に必要なスキルや資格を明確にする
キャリアの最終目標が決まったら、目標達成のために必要なスキルや資格を明確にしましょう。
セカンドキャリア支援制度には、講座受講や資格取得の費用補助が含まれることも少なくありません。
そのため、あらかじめ必要なスキルや資格を明確にしておけば、活用の方向性が定まりやすくなります。
目指す職種や働き方に応じて、何を学ぶべきかを早い段階で見極めることが、セカンドキャリア支援制度を活用する上で重要なポイントです。
セカンドキャリア支援制度を利用する際の注意点

セカンドキャリア支援制度を利用する際の注意点は以下の通りです。
- 退職金がもらえない場合がある
- 再就職ができないリスクがある
- 退職時よりも収入が低くなるリスクがある
特に、考えていたキャリア形成の計画通りに進まないリスクがあることは、あらかじめ理解しておく必要があります。
退職金がもらえない場合がある
セカンドキャリア支援制度を利用する際には、退職金の支給条件を確認しておく必要があります。
企業が提示している退職金制度の内容によっては、退職金が減額されることや、支給対象外になることも少なくありません。
特に、勤続年数や退職理由に応じて金額が変動する規則になっている場合、予想よりも受け取れる額が少なくなる可能性もあります。
セカンドキャリア制度を活用する前に、あらかじめ就業規則や退職金の支給規定を必ず確認するようにしましょう。
再就職ができないリスクがある
支援制度を利用して退職した場合でも、すぐに再就職先が見つかるとは限りません。
特に50代以降の場合、まだまだ年齢を重視している企業も少なくないため、スキルや経験が合っても選考が進みにくいことも多いです。
再就職支援がついている場合でも、希望条件に合う職場が見つかるとは限らないため、想定よりも長期間のブランクが生じるリスクがあります。
事前に求人の傾向を調べ、どのような業種・職種に適応できるかを明確にしておくことが重要です。
退職時よりも収入が低くなるリスクがある
退職時よりも収入が低くなるリスクがあることも、セカンドキャリア支援制度を活用する際の注意点です。
特に現職が大企業で、再就職先が中小企業だった場合、収入が大きく減少する可能性があります。
また、契約社員やパートとして働くことになる可能性もあるため、正社員時代の給与水準を維持できないことも多いです。
生活費や老後資金などとのバランスを考えると、想定以上の収入減が生活に影響するおそれがあります。
セカンドキャリア支援制度を活用する際は、収入が減少するリスクも加味し、実生活を見直すことも考えましょう。
セカンドキャリア支援制度は将来をよく考えて利用しよう

セカンドキャリア支援制度について解説してきました。
本記事で重要なことをまとめると以下の通りです。
- セカンドキャリア支援制度は企業が用意するセカンドキャリアの支援制度
- 利用することで金銭的支援や情報的支援などが受けられる
- 利用の際は自社の退職金制度や利用時のリスクをあらかじめ確認することが重要
セカンドキャリア支援制度は企業が従業員のために用意したセカンドキャリアの支援制度です。
制度を利用すれば、退職金の割り増しのような金銭的支援の他、キャリア相談会による情報提供や準備期間を確保するための時間的支援などが受けられます。
セカンドキャリアの形成を考えている人にとっては有用な制度ですが、再就職が確実にできるわけでなく、退職時よりも収入が低くなるリスクがあることも理解しておく必要があります。
当記事を参考にセカンドキャリア支援制度のメリットやデメリットを把握し、実際に利用するか吟味しましょう。

