2023.10.25

【ジョブアサイン】皆さんは一緒に仕事をしているチームメンバーのことをどの程度知っていますか?

 
 
「一緒に仕事をしているチームメンバーのことをどの程度知っていますか?」
といきなり質問されても困ってしまいますよね。
 
 
それはメンバーの 「経歴のこと?」 「得意な仕事のこと?」
「大切にしている価値観のこと?」
「将来やってみたいこと?」
「今の気分のこと?」
「最近はまっている趣味のこと?」 ・・・・
 
 
さてどれでしょうか?

 
 
リーダーに求められる重要な要素の一つに
メンバーの能力とポテンシャルを把握した上で、
適切なジョブアサインをすること」
が挙げられます。
 
 
「メンバーの能力やポテンシャルを把握する」と聞くと、
一人ひとりの「これまで経験してきたこと」、「得意なこと」、
あるいは「不得意なこと」などがまず頭に浮かぶことでしょう。
でも本当にそれだけでしょうか?
 
 
もう少し視点を拡げて、メンバーの持っている「人的ネットワーク(顔が広い)」「資格」、
さらに「性格」「持ち味」「行動特性」などについてもできるだけ知っておいた方がいいと思います。
 
 
でもそれはどこにも書いてありません。
日常的にメンバーの行動をよく観察し、会話を重ねながら、
皆さん自身で情報を収集していかなければいけません。
 
 
「能力・ポテンシャル」というと、
ついついメンバーがやってくれた仕事の成果(結果)にばかり目を向けがちですが、
ぜひプロセスにも着目して、メンバーの強みを見つけていきしょう。
 
 
メンバーの能力を開発し、育成していくためには、当然弱みの改善も必要です。
でも現在の弱みを、この先誰にも負けない強みになんか変えられません。
皆さんだってそうですよね。
 
 
経営学者のピータードラッカーが、
自著「明日を支配するもの」の中でこんなことを言っています。
 
 
<自らの強みに集中せよ>
 
 
不得手なことの改善にあまり時間を使ってはならない。
自らの強みに集中すべきである。

 
無能を並みの水準にするには、
一流を超一流にするよりも、はるかに多くのエネルギーと努力を必要とする。

 
 
スポーツ選手も、学生も、会社員もみんな同じです。
不得手なことは、ある程度改善すればそれで十分です。
むしろ現在の強みをさらに伸ばすことを優先した方が、
自分自身を成長させ、会社の中でいきいきと活躍するための早道ではないでしょうか?
 
 
でも、いきなり「強みを伸ばせ」と言われても、
そもそも自分の強みがわかっていない人もたくさんいることでしょう。
 
 
他人のことはいろいろ気づくけれど、
自分自身のことって意外と知らなかったり、気づいていないことが多いものです。
 
 
そこで一つ提案があります。
もっとお互いにメンバーの「いいとこ探し」をしてみませんか?
 
 
そして「いいとこ」をみつけたら、
必ず言葉にして相手に教えてあげましょう。
 
 
人はどうしても相手の長所よりも短所、欠点、弱み、課題といった
ネガティブ情報ばかりが気になるものです。
 
 
それは人間の本能的なものなので仕方ありません。
 
だからこそ意識して人の“いいとこ探し”をし、
それをお互いに伝えあいましょう! 

 
 
みんな自信がつき、モチベーションが上がり、
間違いなく幸福度も向上すると思いますよ。

 
 
ここまで「メンバーの能力とポテンシャルを把握する」というお話をしてきましたが、
後半はジョブアサイン(担当業務変更やローテーションなど)を
メンバーの育成機会として積極的に提供すること」
についても考えたいと思います。
 
 
メンバー育成のために、意識的に新しい仕事を任せたり、
ローテーションを行うことはとても大切なことです。
 
 
でも、メンバーに新しい仕事を割り振ったり、
別のチームに異動してもらうときって、どうしても効率に目を向けがちですよね。
 
 
もちろん効率は無視できませんが、もう一方で意識しなければいけないのは、
メンバー一人ひとりの「やりがい」
「大切にしている価値観」
あるいは「キャリアビジョン」なのです。

 
 
「メンバーの能力・ポテンシャル」のことを「Can(できること)」と言うのに対して、
「メンバーのやりがい・価値観・キャリアビジョン」のことは
「Will(やりたいこと)」と呼びます。
 
 
Can(できること)は事実に基づくことが多く、
比較的把握しやすいのですが、Will(やりたいこと)は心の内面の問題なので、
本人も周りの人も普段あまり意識していなかったり、お互いに話をしていないのではないでしょうか?
 
 
でもこのWillこそがメンバーのモチベーションや成長に直結する、
とても重要な要素なのです。
 
 

メンバーのWillを知るためには「モチベーションカーブ」
「価値リスト」などのツールを使って、
モチベーションの源(やる気スイッチ)や大切にしている価値観などを「可視化」し、
それを「客観視」する方法がお勧めです。
 
 

是非チームメンバーの皆さんとこのようなツールを使いながら、
お互いのWillをフランクに語り合ってみてください。
 
 

メンバーが自分のWillを本音で話してくれるようになるためには、
お互いの間に信頼関係が構築されていることが大前提です。
 
 

まずは日頃から信頼関係を築いておいてくださいね。

 
 

「メンバーの能力とポテンシャルを把握し、適切なジョブアサインを行う」際には、
効率やメンバーの「Can(できること)」だけでなく、
一人ひとりの「Will(やりたいこと)」にも意識を向けるようにしましょう! 

みんなの更なる成長とモチベーションアップのために・・・。
 

 

大隅 裕之

大隅 裕之

株式会社ライフシフト Senior Vice President/チーフインストラクター/ ライフシフト大学教授

日産自動車にて商品企画・マーケティングを経て、人事部門でキャリアコーチとして次世代経営リーダー候補の発掘・育成に従事。その後、人財開発インストラクターとして日産グループ内のリーダー育成研修、キャリア開発研修など豊富な講師経験をもつ。早稲田大学理工学部卒業。保有資格:プロフェッショナルコーチ(GLLC認定)、キャリアコンサルタント(国家資格)、キャリアカウンセラー(GCDF-Japan)