【連載シリーズ】大人の学びコラム 第六回 生成AIの餌食にならないリスキリング「4つのS」(生成AI 後半)
みなさま、こんにちは。
今回は生成AIの二回目です。
生成AIがたくさんのスキルに代替してしまう。
これは前回お話いたしました。
AIは猛烈なスピードで進化していきますから逃げ切ろうとするのはシャチから逃げようとする金魚のごとし。
この困難な時代に皆さま善男善女の救済ために
LS社が用意いたしましたのが対AIサバイバルキット:「4S=戦略的学びなおし」なのであります。
AI研究者の方から伺った興味深い実例をご紹介しましょう。
あるスーパーの店舗で日販を最大にするというゴールが設定されAIと業界で名の通ったコンサルタントさんが競い合ったそうです。
AI側は一週間お客様にセンサーをぶら下げていただき店内にいる間の行動・購買情報をすべて記録。機械学習します。
一方、カリスマコンサルタントはこれまでの数多のコンサルティング経験に加えて綿密な店舗観察を行います。
果たしてこの勝負の軍配は・・・。AIの圧勝だったそうです。
コンサルタント氏がどのようなアドバイスしたのかは存じませんが、
AIのアドバイスはお店の人を困惑させるものでした。
「店舗のある場所にずっと従業員を立たせておく」
「は???」
しかし、AIの御託宣のとおりしたところ実際に日販が大幅に上がったのです。
人間は思考を合理的につなげていくために選択肢を最初からある程度限定せざるを得ません
(例えば戦略的にお弁当を安くして・・・とか)。
AIにはロジック思考がないので人が思いもよらない「打ち手」が見えてくるのです。
生成AIとなればさらに織り込みチラシも日報も瞬時につくってくれるでしょう。
私は研究者の方に伺いました「これから店長さんは何をすればよいのですか」。
そのお答えは「店の外のこと」でした。言い換えれば「社会」です。
例えば、店舗の成績は店舗外の環境にも左右されます。
地域コミュニティの在り方は地元自治体や近隣住民、
学校関係者など様々な関係者と一緒になって考えていかなければならない政治的決定プロセスです。
人間が人間くさく決めていくしかない。
弊社徳岡は著書「リスキリング超入門」においてリスキリングの体系化として四つのSを挙げています。
「シナリオ思考」、「スピード感」、「サイエンスマインド」、「セキュリティ感度」。
地域社会はいかにあるべきか、これは地域の将来を考え逆算する一つ目のS「シナリオ思考」に他なりません。
次にAIは意思決定をしません。
意思決定は常に(望むらくは永遠に)人間の行為であり2つ目のS「スピード感」が求められます。
人間が意思決定を放棄するということは自由を放棄することに他なりません。
同時にAIがいかにすごいと言っても
その原理をまったく理解できなくては上手に「使いこなす」ことができないでしょうし、妄信につながる危険もあります。
ここで必要になるのは3つ目のS「サイエンスマインド」です。
そして最後のSですが、先日あるコンビニエンスストアチェーンが麺類をすべて国産にすることを発表しました、
これはロシアーウクライナ戦争を受けてのことです。
グローバルなセキュリティの見通しを持つことが多くのビジネスで求められています。
これが4つ目のS「セキュリティ感度」です。
生成AIの進化は止められないでしょう。
仮に西側が規制をすれば中国やロシアが生成AI技術で世界を圧倒することになるだけです。
結局開発競争を止めるには世界的コンセンサスが必要であり、それはあまり現実的ではありません。
我々はどうすればよいのか。
AIと戦わないことです。4つのSで土俵を変えましょう。
パワポづくりもチラシづくりも生成AIに任せて構わない。
地域社会をよりよくするにはどうすればよいのか、人間社会はどうなっていくのか、
世界の政治状況はいかなる展開をみせるのか、自分はどのような世界を望むのか。
我々は「社会」という視点でビジネスを考える。
「4つのS」はAIという大洪水の前夜に我々子羊に用意された箱舟です。
おそらく唯一の。